あっちは大荒れ

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「松尾君、君は結婚式が終わるまで我が社の窓口となる様に。」 「はあ・・・。」 「そんな腑抜けた返事では困るぞ。君はこれから我が社の代表としてマスコミ対応にも当たるし、leaderzや、高藤一族との折衝にも当たるんだぞ。」 そんな怖い顔で言われても、全く話がぴんとこない。 だが、ここは引き受けなければまずいと俺のサラリーマン魂が訴えるので、殊勝顔で頷く。 すると社長は満足したかの様に一息吐いた。 「井上君も上司である君が対応してくれれば、心強いだろう。」 「はい。」 「それでは後日正式に指示を下す。下がってよろしい。」 「失礼します。」 くるりと回れ右をして、さっさと出口に向かう。 すると背後で楽しそうなやり取りが始まった。 「社長やりましたね。今回のことは、我が社のイメージアップに繋がりますよ。」 「本当だとも。井上君には臨時ボーナスをあげたい位だ。」 「こちらから宣伝しなくとも、勝手にマスコミが宣伝してくれるんですからね。ありがたい話です。見て下さい、株価だってこんなに上がって・・・。」 一礼をして扉を閉める。 そして、そこにガクリと膝を着いた。 『なっにが、株価だ!宣伝だ!!』 イライラしながら頭を掻き毟る。 『井上のことを、勝手に利用するんじゃねえよ。』 井上が一生懸命仕事をし続ける傍ら、高藤さんとの関係を大事にしてきたことを、俺は痛いくらい分かっている。その清い気持ちを、勝手に会社のイメージアップとやらに使われるのはものすっごく腹が立つ。 「ちっ。」 盛大に舌打ちをして立ち上がると、ふと視界の隅にプルプルと震えている物体が映る。 「おい・・・。」 自分でも分かる位のすごんだ声を出すと、その物体、もとい藤本が半泣きで駆け寄ってきた。 「すみません、すみません。」 「いいから話せ!何があったか話せ!!」 藤本のネクタイをギューギュー引っ張りながら詰め寄ると、藤本が『■△○★☆?×○』と変な声を上げた。
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