恋は砂糖菓子に似て

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「美夏、可愛い。」 「卓さん!」 出来る限りきつく睨みつけると、卓さんは苦笑する。 その後、もう一度私を抱きしめると、私の耳元で穏やかな声を出す。 「このまま二人っきりで過ごそうか?」 「え?でも、無理なんじゃ・・・。」 「何故?」 「だって、もう離陸だし。席に着かないと・・・。」 卓さんは私の体を少し離すと、私の目を覗き込む。 「一緒にいたくないかい?」 「いたいけど・・・。」 「では、答えは簡単だね。」 卓さんは私をベットの方に連れてくると、ベットの脇を指さす。 「?」 近付いてよく見てみると、それは・・・。 「え!ベルト!?」 思わず卓さんを仰ぎ見ると、卓さんがふっと笑う。 「飛行機だからね。」 「・・・っ。」 確かに、ここは飛行機の中。 フライト中はベルトしなければならないのは確かだけど・・・。 だけど、この豪華なベットにベルトが付いているという違和感に、何だか笑えきてしまった。 思わず笑ってしまった私に、卓さんも悪戯っぽい笑顔を向けてくる。 「早速、このベルト使ってみようか?」 「はい。」 卓さんは戸外にいた乗務員に何事か伝えると、ドアを内側からロックする。 引き寄せられるかの様に卓さんに体を寄せると、ふわりと体が浮いて、卓さんが私をベットに運んでくれる。 柔らかなベットに体が沈む感触に、心臓が再びドキドキと早鐘を打ち始めた。 息がかかる程の距離で、卓さんがやんわりとほほ笑む。 漆黒の目。 その奥底に灯る熱に気が付き、自然と頬が熱くなる。 甘い時間が始まる予感にそっと瞼を閉じると、瞼に柔らかな唇が触れた。
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