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◇◇◇
あたしにだって恋愛する理想ぐらいはある
それがいつ達成できるかなんて分からないけれど
あのとき
本当は店員がカップル限定のって言ったときから体が熱い
麗那は冷静だったのに慌てていたらみっともないから悟られないように意地をはった
夏の暑さの中で日の当たる席にいるからだと思い込んだ
でも普通の女子ならどんな反応を示すんんだろう
あたしは未だに恋を知らない
一緒にいる麗那は学校だけじゃなくてモテる人
それは今だって彼氏といようが女友達といようが麗那への視線で気付く
あの子死ねとか思われていたら結構へこむ
きっと視線を送る人なら麗那の横を一度は歩きたいんだろうな
そろそろ麗那の隣から卒業したほうがいいのかなって思い始めた
彼の隣は居心地がよくて
あたしが唯一甘えることができる場所で
そんな場所はなくなったとき
またあたしは暗闇の中を歩き続けなきゃいけないか
と思うと怖くなる
夏の季節は日が長いのにあたりは暗くなっている
そろそろ帰ろうかと声をかけても帰る場所は同じところ
駅に着いたら明日も休みな大人たちがはめをはずそうと暗い世界に入っていこうとしている
いくら高いヒールを履いても同じ高さにならない彼はこんな人ごみのなかでも頭ひとつ抜けている気がする
あたしにとっては眩しい存在に追いつくのがやっとだった
「れ…な…」
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