プロローグ

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「はあ、つっかれたー。始業式とかやってらんねえぜ……」  この十畳ほどのワンルームの部屋にあるベッドに、緑がダイブする。きしむ音がうざったるいが、仕方ないか。  ついさっき学校が終わり、今は寮の自室にいる。一緒に部屋に入ったオレは、そんな緑を流し目に見つつ冷蔵庫へ向かった。 「午前で終わっただけいいだろ」 「いやー、まだ休みボケが抜けてなくてよぉ。つかショウ、さっきから俺がけなされてる気がするのは気のせいか?」 「あっそ」  緑もとい高山こうや【たかやまこうや】の発言を(不自然ながら)軽く流す。  ショウとはオレのことで、あだ名だ。実際の本名は月影翔【つきかげかける】で、そのあだ名がついた理由は単なる呼び間違い。  まあそれは置いといて冷蔵庫を開けると、そこには衝撃の事実があった。 「こうや、冷蔵庫に食料がない! ついでに飲み物も!」 「なんだとぅっ!?」  がばっと起き上がってお約束のような反応をもらったが、そんなことを言っている場合ではない。このままでは生死にかかわるかもしれない。 「なんで食料を枯渇させてんだよ、家主」 「家主って表現おかしいだろ、確かにここは俺の部屋だけど! それにお前もこの部屋の住人だよな! 最後にお前の食う勢いが凄すぎて補給が追い付かねえんだよ!」 「三連ツッコミお疲れ」 「ワザとかよ!」  一つボケると三つのツッコミが返ってくる。さすがこうや。  しかし、こんなやりとりをしている場合でもない。それはさっき言った通りだ。さて、どうするか。 「よし、買い物しに行くか」  食料がないなら、することは一つしかない。ちょうど午前で授業は終了しているし、買い物に行く時間はある。  ちなみに学食という手段も普段はあるのだが、春休みが終わって初日で、しかも午前終了した今日は開いていないのだ。  だから買い物に行くしかないと思い、少し面倒くさめに立ち上がる。すると、こうやがベッドに座ったまま意外なことを口にする。 「あ、それ無理だぜ?」 「え、なんでだ?」  こうやの不意打ち発言にオレは不満げに聞き返す。その答えは、オレの納得の簡単に引き出した。 「だって舞花が召集かけてたから」
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