第1章

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静寂の中、ごくシンプルなタイトルコールから。 ヴー(N) 『夜猫ホテル』。 (タイトルコールの後、引き続き語り) ホテルといえばうそになります。 昔、そこでホテルをやっていた人たちがいた、というべきでしょう。 今は、ただの空き家です。 音楽。(ルイ・ルイのイメージ) ヴー(N) けれどそこにも客はいて…、 (ここで語りは男性に切り替わる。 この世界の創造者であると思われる、作家のものである) 男性(N) たとえば、縞猫のルイ・ルイ。 ルイ・ルイ わたしの過去は、聞いちゃいけないよ。 わたしがあの、猫の世界では知らぬ者もないセント・ヴァレンタインの夜会をとりしきっていた女あるじだなんていっても、だれも信じないだろうからね。 男性(N) そのことを信じているのは、たしかに本人だけのようらしく、ルイ・ルイはひとり自分の言葉にうなずいていました。 音楽F.O.
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