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弾丸は両手で計10発。替えの弾丸は持ち合わせていないので、あまり数があるとは言えない。しかも、相手の位置が把握出来ない今、とても不味い事態ではあった。
(ーーとは言え、全く手が無い訳でも無いんだけどな……)
義手型拳銃に気を取られがちだが、鬼川束は陰陽師でもある。こういう時のために偵察用の式神を隠し持っている。
自分の体内に。
大学時代、サークルの活動で仲間と一緒にとある妖怪退治に行き、全員が大怪我を負った。
一人は両腕両足をーー
一人は人間としての命をーー
リーダーだった法峰宝も、少なからず失ったものがあったはずだ。
そして、鬼川束は内臓のほとんどを失った。
脳や、心臓と言った必要最低限の臓器以外はズタズタにされ、瀕死寸前まで追い詰められた。重傷だったが、何とか生きていた法峰の処置により、鬼川達は一命を取り止めた。失った内臓の代わりに、式神を埋め込むことによって。
そういう意味では法峰は鬼川の命の恩人と言うことになる。
「折角、拾ってもらった命なんだから、簡単に殺されてやる訳にはいかないんだよな」
言いながら、弾丸を放つ。
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