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最後まで言わせず、鬼川の義手が桃源の口に当てられた。桃源の頬がほんのりと赤らむ。
「確かに言いたいことは分かるけどな、俺にだって理由はあるんだぜ」
「……それは、私が納得出来る理由なんですか?」
「あー、出来ないかもな……」
その後、大激怒した桃源は鬼川に3日も口を利いてくれなかった。
実際に考えたことはある。
人を妖怪から守る陰陽師と、人を殺すヒットマンの両立なんて出来るのか?
矛盾してるのではないか?
「でしょ? 私が今回あなたを狙ったのも、あなたが私達の敵である陰陽師であり、私達のボスからの命令だからです。恐らく、あなたが一番付け入る隙があると感じたのでしょう」
「そう言うのは、本心の前では言わない方が良いんじゃないのか?」
「私も殺める側とは言え、殺すと言うことに全く心が痛まない訳ではないんです」
と、鬼川の言葉を軽くスルーして、声の主は言った。しかし、言っていることは非常に嘘臭い。
「だから、提案です。陰陽師を辞めていただけませんか?」
「……………………」
しばらくの間、沈黙があった。鬼川は目を閉じて考える。
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