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(顔は女の命だっけ?)
と、適当に考えながら、銃となっている左の義手を構える。
「……ふぅー」
ここで一旦冷静になろうとしているのか、深呼吸をする空繰。
「何故ですか? 悪い提案ではないでしょう? とりあえず、私に命を狙われることはなくなるのですから」
「まず」
と、右の義手の人差し指を立てて、
「お前から命を狙われることはなくなっても、他の奴から狙われる。だから、誰から狙われるとか、そんなのはどうでも良い、問題じゃない」
空繰は黙って聞いている。無表情なのは、怒りの感情を殺しているからかもしれなかった。
「2つ目。そもそもお前みたいな奴がいるから、俺は安心して陰陽師を引退出来ないんだ」
勘弁してくれよーーと、鬼川はまるでサインをねだるファンの女の子を諭すアイドルのように言う。余裕の笑みを浮かべている。
「……分かりました」
あっさりと、棒読みで空繰は言った。しかし、目からは殺気が漏れ出しているかのように、ギラギラとしていた。
「では、私に命を狙われて死んでください」
言うよりも先に、空繰迷事の体は空中にあった。空を飛んでいるかのようだ。
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