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お人好しと言うのか、ポジティブと言うのか、とにかく、本人は気にも留めていない様子だった。
しかし、それを良しと思っていなかった、サークルの部長だった法峰宝は、
「あんた達、助けてもらっておいてその仕打ちは何だ!!」
ある日、法峰が鬼川に罵声を浴びせる元人質達に、そう怒鳴りつけたのだった。
その光景に、鬼川は呆然とし、法峰は驚いている様子の鬼川に向かって、
「あんたもこんな不当な扱いされてんだから、ブチ切れるくらいのことはするべきなのよ!」
と、叱責した。
それから、鬼川を苛める人は誰もいなくなった。
銃とワイヤー。
一見、殺傷能力に勝る銃を使う鬼川に分があるようだがーー
「当たらなきゃ、殺傷能力も何も無いですよねぇ?」
鼻で笑うように、空中で何度も方向転換を繰り返す。それが銃の標準を狂わせていた。しかも、鬼川の銃弾は両手を合わせても4発しか残っていなかった。
額に浮かぶ汗を義手を拭う鬼川。
「……ヤバイ」
空繰には聞こえないくらい小さい声でぼそりと呟く。どんなにクールを装っている鬼川でも、やはり、焦燥感はあったのだ。
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