ヒットマン陰陽師vsアサシンマジシャン

10/11
前へ
/59ページ
次へ
 お人好しと言うのか、ポジティブと言うのか、とにかく、本人は気にも留めていない様子だった。  しかし、それを良しと思っていなかった、サークルの部長だった法峰宝は、  「あんた達、助けてもらっておいてその仕打ちは何だ!!」  ある日、法峰が鬼川に罵声を浴びせる元人質達に、そう怒鳴りつけたのだった。  その光景に、鬼川は呆然とし、法峰は驚いている様子の鬼川に向かって、  「あんたもこんな不当な扱いされてんだから、ブチ切れるくらいのことはするべきなのよ!」  と、叱責した。  それから、鬼川を苛める人は誰もいなくなった。  銃とワイヤー。  一見、殺傷能力に勝る銃を使う鬼川に分があるようだがーー  「当たらなきゃ、殺傷能力も何も無いですよねぇ?」  鼻で笑うように、空中で何度も方向転換を繰り返す。それが銃の標準を狂わせていた。しかも、鬼川の銃弾は両手を合わせても4発しか残っていなかった。  額に浮かぶ汗を義手を拭う鬼川。  「……ヤバイ」  空繰には聞こえないくらい小さい声でぼそりと呟く。どんなにクールを装っている鬼川でも、やはり、焦燥感はあったのだ。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加