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「もう一度聞きましょう、鬼川束さん。あなた、陰陽師を辞めませーー」
「い・や・だ!」
変幻自在な銃弾が、3発ーーそれぞれが空繰の左腕、右腕、右足の関節を撃ち抜いた。
「くあっ……!? こ、のぉ……人間崩れがぁ!!」
激昂した空繰迷事が咆哮する。光に包まれたかと思うと、次の瞬間には、彼女は人間の姿を保ってはいなかった。本来の、雷獣としての神々しい獣の姿に変わっていた。頭から生える2本の角は強大な雷電を纏っていた。
「この姿はあんまり好まないんですがね、目の前の気に食わねえ奴をなぶるためなら挑むところってんですよぉ!」
人型の時に持っていたワイヤーは電磁浮遊で宙に固定され、莫大な電熱で変形をし始めていた。
そして、それらは一気に大きな槍にまで形成される。
「この辺りの電線全部集めればこれくらいの大きさの槍にはなるんです、よぉ!!」
語尾を強めたのは、形式したての槍を鬼川に向かって投げ付けたからだ。電磁波は絶妙なコントロールさえも可能にする。
変幻自在で無茶な弾道よりも、滅茶苦茶な高速移動を繰り返す槍はーーいとも容易く、鬼川束の腹を貫通した。
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