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「新食感と言うやつですね」
たべてもらえるとなってすっかり元気を取り戻した桃源が笑顔で言う。
「いや、もう腐りきった食感だろう……」
ますます険しい顔になる鬼川。しかし、目の前で作った張本人の桃源が見ている。しかも、笑顔で!
「……南無三!」
エメラルドグリーンの物体を乗せたスプーンを口に含む。
「こ、これはーー!!」
鬼川束の本職は陰陽師である。これは家系の関係と言う訳ではなく、大学時代の先輩に才能を見出だされ、就いたと言う経緯である。
その先輩1号からの呼び出しがあった。
「? 束ちゃん、どうしたの? 何か艶々してるけど」
「この世の料理とは思えない料理を食べたおかげでしょうね」
無愛想な鬼川が今までになく爽やかな笑顔で言った。
対して、見た目年齢10代の先輩は気持ち悪いものを見るような目だ。
ノリミネ タカラ
法峰 宝。
こちらは正真正銘の陰陽師の家系である。Sサイズの子供服の上からオーバーオールを着込んでいるが、実年齢は29歳と、もうすぐ三十路になろうとしている。アラサーである。
「俺まだ昼飯の途中なんですけど」
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