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「……………………」
前からその節があるとは思っていたがーー確信した。
「先輩……あんた、無果実のこと狙ってやがるな?」
「……………………」
法峰の動きが止まった。図星らしい。
「は、はあー!? べっ、別にそんなこと無いし! 誰があんなガキ、しかも、鬼なんか……!」
そんな法峰を尻目に、鬼川は自分のスマートフォンを弄る。
「先輩、見てください」
「? 何よーー!!!?」
法峰の目が輝く。その姿はまるで欲しかった玩具を見つけた子供のようだったが、この場合、その喩えが具体的過ぎて気持ちが悪い。
「あ、あああ……! そっ、それは!!」
「あいつが俺と一緒に写真撮りたいって言うんで、渋々撮ったんですがーー」
そこまで言って、鬼川は喋るのを止めた。と言うか、絶句した。
「先輩……鼻血……」
見ると、法峰の2つの鼻の穴からボタボタと真っ赤な血が零れている。
これでも由緒正しき家柄の凄腕の陰陽師なのに……。
「く、くぅーー可愛過ぎるぅ……!!」
大学でもその容姿から追っ掛けもいたのに……。
「ねえ、LINEで送ってよ」
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