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「今日は、彼女の誕生日なんだ。
これで、やっと結婚できる」
メディは悲しそうに笑う。
そうか、今日は――
あいつの誕生日になりゃ、その日に迷わず籍を入れてやるんだ、と毎日のようにメディが繰り返していた、約束の日だ。
それも、ある日を境に、言わなくなったけれど――。
覚えていたのか。
いや、忘れる訳がない。
覚えていたのか、と言うよりは、忘れていなかったのか、と言う方が相応しいか。
「こんなに早く、この日が来るなんてな。
二年なんて、本当にあっという間だった。
……あっという間だったよ。」
彼は呟く。
当時23歳のメディが彼女と付き合い始めた時、女は14歳だった。
僕たちは散々ロリコンだなんだと騒ぎ立てていたが、奴は本気だった。
女が16の誕生日を迎えたら、親の許可をもらって、すぐにでも結婚するんだと毎日騒いでいた。
どうせすぐに呆れられて別れるだろうよ、と僕らは口々にしながら、二人がいつまで続くかをからかい半分に楽しんで見ていた。
親に認められる為に働いて、髪も服装も言葉遣いでさえも、彼はまともになった。
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