「結婚の日」メディ・ローレンツ

4/5
前へ
/56ページ
次へ
「今日は、彼女の誕生日なんだ。 これで、やっと結婚できる」  メディは悲しそうに笑う。  そうか、今日は――  あいつの誕生日になりゃ、その日に迷わず籍を入れてやるんだ、と毎日のようにメディが繰り返していた、約束の日だ。  それも、ある日を境に、言わなくなったけれど――。  覚えていたのか。  いや、忘れる訳がない。  覚えていたのか、と言うよりは、忘れていなかったのか、と言う方が相応しいか。 「こんなに早く、この日が来るなんてな。 二年なんて、本当にあっという間だった。 ……あっという間だったよ。」  彼は呟く。  当時23歳のメディが彼女と付き合い始めた時、女は14歳だった。  僕たちは散々ロリコンだなんだと騒ぎ立てていたが、奴は本気だった。  女が16の誕生日を迎えたら、親の許可をもらって、すぐにでも結婚するんだと毎日騒いでいた。  どうせすぐに呆れられて別れるだろうよ、と僕らは口々にしながら、二人がいつまで続くかをからかい半分に楽しんで見ていた。  親に認められる為に働いて、髪も服装も言葉遣いでさえも、彼はまともになった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加