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「殺害予告だあ?」
「そうだよ。
僕は今すぐにバンド活動をやめなきゃ、殺されちゃうみたいなんだ……。」
彼はみるみる威勢を無くし、眉を下げながら肩をおろす。
彼のペチャンコの頭を、隣に足を組んで座るナンシーが撫でる。
「はっはっはっ、馬鹿馬鹿しいな。そんなのただのイタズラだ」
「んなの、ジャックが昔住んでたアパートになんかしょっちゅう書かれてたぜ」
「ふ、今はそのアパートさえも追い出されてしまったけどね」
わざとらしく高笑いするジャックに、メディが言う。
僕もそう口を挟む。
「でも……」
「でもじゃねえよ、俺だってそれくらい書かれたことあるぜ。
こんなことやってりゃ、一度は誰もが通る道だ」
「僕は無いよ。
真面目に生きてるからね」
メディの言葉に、再び僕が口を挟む。けれど、それにも関わらずメディが続けた。
「有名になった証だ、シド。
本気にすることじゃねえ。気にすんなって」
「冗談じゃないよ!
それで僕が本当に殺されてしまったらどうする?
適当なことを言うのはよしてくれよ」
そうメディが言ってやっても、シドはまだ不安そうに僕らを睨む。
見兼ねたメディが、今までずっと口を挟まなかったキースに「お前からも何か言ってやれよ」と催促した。
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