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「どうしたの?」 「莉桜お嬢様…。こちらを」 真剣な表情で渡されたのは、一通の封筒。 中身は高ノ宮家誕生日パーティーの招待状。名前は城崎 莉桜宛て。 伊丹曰わく和裕や4人は一緒の封筒で来ていたのだが、莉桜宛てのだけは別に届き、伊丹が保管していた。 「伊丹…これ渡されても何も出来ないん「お嬢様」え?」 首を傾げて不思議がる灰莉に伊丹が一歩下がると蒼いドレスを持った幸代がいる。 「是非、行ってきてください」 「……夢を見ていいの?」 一生関わることのないと思っていたことだった。故に涙が溜まり、声が震える。伊丹は幸代からドレスを受け取ると幸代は灰莉を抱き締め、準備をすることを告げ、灰莉も頷く。 準備は、幸代の神業の手により、早く終わる。そして伊丹により会場まで見送られ、受付にて緊張しながら招待状を見せた。 「城崎 莉桜様ですね。どうぞ、お入り下さい」 微笑み、会釈をして中に足を進めた灰莉を見た受付が、コソコソと話す。 「なぁ、今の美人じゃね?」 「本当に。あんだけ綺麗でお嬢様。優しそうだったし、羨ましい…」 幸代によって化粧も施され、灰莉は少し大人っぽく、元もいいため、美人な仕上がりとなっていた。 中に入ると、丁度統惟の挨拶が終わった所で、ステージに立つ統惟と目が合う。ヤバいと思い、灰莉は会釈をすると統惟は微笑んでいた。 飲み物を受け取った灰莉は、俊子達と会わないよう辺りを見渡す。 未央と麻央は、すぐに見付かった。ステージから降りた統惟に群がっていた為、悪目立ちしていたのだ。未婚でありそうな殆どの若い女性がそうしていたのだが。 呆れ溜め息をつくと、何人かの男性に声を掛けるも困ったような笑みで丁寧に断る。
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