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しかし、時間は刻々と過ぎていく。 慌てて灰莉を着替えさせ、メイクを落とした所で俊子達がイライラしながら帰ってきた。 すぐに灰莉が呼ばれたものの泣きはらし、目が腫れた姿を見て、笑うと部屋に帰って行く。 パーティーで見掛けたのが灰莉だと疑っていた俊子だったのだが、伊丹が転んで目をぶつけてしまい腫れたと苦し紛れの説明を納得してしまった。 ―――――――――― その夜、高ノ宮家では顔を赤らめ、額にタオルを乗せ、ベッドに伏せる統惟とパーティーに現れた統惟がベッド傍の椅子に腰掛けている。 「結惟、ごめんな。お疲れ様」 「へ?あ、いや、大丈夫。誰も気付かなかったよ」 実は、昨日の夜から統惟は風邪で寝込んでしまい、急遽結惟が男装してパーティーに出ていた。 元々そっくりな2人な為、疑う者はいなかった。 ウィッグを取ると中から長い髪が現れる。そんな動作を申し訳なさそうに見ていた統惟が結惟の膝の上に靴があるのを見付けた。 「結惟?その靴は?」 「ん?あぁ、シンデレラの落とし物」 「どういうこと?」 「声を掛けたらシンデレラのごとく逃げられて、残されていたのが、この靴」 「まさにシンデレラだけど…来ていたのはお嬢様ばっかりだけどね」 結惟の説明に納得し、笑う統惟だが、結惟は何やら考えている。 「結惟?」 「風邪が治ったら相談させて」 微笑みを浮かべると、おやすみと告げ、結惟は統惟の部屋を出て行った。
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