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結惟には、靴の持ち物の名前までわかっていた。 靴を落とす前、受付の前を通った際に、同じ人がいた為、すぐに追ってきた時に通ったのが灰莉だけで受付で名前を聞いたのだ。 そこで引っ掛かるのが、毎年城崎家はパーティーに呼ばれているが、莉桜は一度も来たことがなく、行方不明と噂されている。そして纏わりついてきた双子の未央と麻央と姉妹にしては似ていなく感じていた。 ちなみに未央と麻央とは同じ学校に通い、統惟は同じクラスだったりする。それでも双子は統惟と結惟の見分けがついていない。 数日後、風邪の治った統惟に考えていたことを伝えると、双子に探りを入れてみると言う。 結惟は結惟で、調べていると1つの噂話に辿り着く。 それは、城崎家の末娘が行方不明になり、似た娘を使用人として引き取っているというもの。 パーティーに来ていたのは末娘の名を語った使用人か? そんな気さえしていた結惟だったが、統惟が双子は何か隠していると言い出した。 何を隠しているのかはわからなかったそうだが、末娘の話になると顔色を悪くしたそうだ。 家族に秘密にしたがっていた彼女だからこそ、本人に靴を渡した方がいいだろうと思い、灰莉の通う高校を調べ放課後、足を運ぶ。 何故、彼女に執着するのか結惟もわかっていない。靴を返したいだけなら、手間を惜しんで調べなくとも送れば済むことだし、それか捨てれば全てが済む。 結惟の脳裏には、寂しそうに呟いた灰莉の顔が離れなかった。
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