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「あ、あ…」 「莉桜、大丈夫。もう大丈夫だよ」 抱き締め、頭を優しく撫でる結惟に灰莉も段々と落ち着きを取り戻す。 「…と…結惟様?」 落ち着き、顔を見た瞬間、統惟だと思った灰莉だったが、抱き締められてる時に女性だと感じ、妹の結惟がいたことを思い出す。 「正解。落ち着いた?」 「はい。すみません、お手数おか「灰莉!?」っ!」 結惟に微笑みを向けた灰莉だったが、勢い良く啓太が現れ、ビクッと肩を震わせる。 「…君、今この子は敏感になっているから男性は近付かない方がいい。いなくなってくれないか?」 冷めた声で結惟が告げると恋人だからと啓太が吠えるも灰莉が結惟の服をギュッと掴んでいるのを見て、肩を落とし去っていく。 「君の名前は…莉桜?灰莉?」 「っ……灰莉です」 突如話を切り出され、灰莉は視線を下げながら答える。 「じゃあ、灰莉。これは君の?」 「あ!」 視線を結惟に戻すと結惟の手には、あの日落としてしまった靴の片割れがあった。 「やっぱり、城崎 莉桜は君だったんだね」 「そうです。だから返してください!大切な人からの贈り物なんです!」 必死になる灰莉を見て、悔しい気持ちになりながら、結惟は次の質問をする。 「今の彼氏から?」 「違います。親のように私を庇い育てて、この高校にも通わせてくれた人達からの」 「詳しい話は聞けないのかな?」 即答され、ホッとするも結惟に疑問は尽きない。 一度靴をしまうと、おんぶで学校を出る。 諦めた灰莉は物語を語り出す。
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