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「おかあさま!おねえさま!はやく、はやくー!」 「りお、あまり走ると転ぶわよ」 「だいじょーっ!」 「「りおー!?」」 黒髪の小さな女の子が手を振り、茶髪の顔のそっくりな双子の少女と日傘をさした茶髪の女性に声を掛けると、また走り出す。 女性が注意した直後、足を滑らせ、転んでしまう。 そこに駆け寄ったのは双子の少女。 「えへへ~」 「お母様の言うとおり、気をつけなきゃダメよ?」 「そうよ。可愛いりおに傷がついたら大変だわ」 「ごめんなさーい」 笑って誤魔化そうとした女の子だったが、双子の少女に叱られ、シュンとしながら謝ると女性が女の子に目の高さを合わせながら、気をつけるように告げ、女の子が立ち上がるのを手伝う。 そして4人が着いたのは、クローバーで地面が覆われた丘。 女の子と少女達は、我先にと四つ葉のクローバーを探し出す。 それを楽しそうに見ている女性。 数分程で女の子が「あ!」と声を上げる。 すると走りながら女性の元へ来ると手を差し出した。その手には、四つ葉のクローバーが握られている。 「おかあさまにあげる!」 「りお、ありがとう」 女性は優しく微笑み受け取ると女の子も嬉しそうに笑う。 これが女の子にとって一番幸せだった記憶。
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