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学校へ行くべく裏玄関に向かうとロングスカート丈のメイド服を着た、ふくよかな女性が現れる。 「りおお嬢様、いってらっしゃいませ。お気を付けて」 「さちよさん…灰莉だってば…」 「りおお嬢様は、りおお嬢様ですから。さ、遅れてしまいますよ」 「もう…ありがと。いってきます」 溜め息をつきながらも嬉しそうに手を振り、灰莉は家を出た。微笑み灰莉を見送ったのは、伊丹の妻で城崎家に仕えている幸代。 本来の戸籍上、神居 灰莉というのは実在しない。 灰莉の本来の名は城崎 莉桜'しろさき りお'。 城崎家の末娘。 小学校に上がる時、突如として奥方で灰莉の母親である俊子'としこ'が、目つきを変え、部屋に閉じ込めた。数日間閉じ込めたかと思えば、持ち物は全て奪われ、名前も変えられ、使用人として扱われるようになる。 何かあれば打たれ、蹴られ、罵られる毎日に初めの内は、父親である和裕'かずひろ'が助けていたが、大きな会社の中ぐらいの管理職で忙しいと家に寄りつかなくなっていった。 それを良いことに俊子はホストを、とっかえひっかえ連れ込み、共に過ごす毎日を送っている。 俊子は昔は美人だったのだが、灰莉を睨みつけるようになってから一気に老け込んだようになってしまった。 一見、化粧と服で着飾れば、美人な奥方なのだが、脱ぐと熟女の魅力とはどこに…といったところだ。そんな俊子を抱くホストは、物足りなさからか若い灰莉を狙い襲う。 初めは嫌がっていた灰莉だったが、抱かれる時だけは、母親に見捨てられた自分でも求められていると感じるようになってしまう。
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