02

2/12
前へ
/34ページ
次へ
高ノ宮'たかのみや'家。 「今年も面倒だね」 「兄さんが、それ言っちゃダメでしょ」 大きな庭と大きな門、昔ながらの大きなお屋敷の一室で焦げ茶色の髪のイケメンな男女が笑いあっている。 2人は、高ノ宮家の子供で兄の統惟'とうい'と妹の結惟'ゆうい'。双子のようにそっくりで、髪の長さだけが違う。 年齢は1つ違いで統惟は今高校3年生。 今度、統惟の誕生日パーティーが開かれ、主役として参加し、父親の会社関係の人ばかりが集まるのだ。 これこそが俊子達の元へ届いていた招待状である。 ―――――――――― 当日。 城崎家では、ドレスに身を包んだ俊子、未央、麻央が迎えの車に乗り、出掛けていった。 ふぅ、と溜め息をついて自分の部屋へと向かう灰莉。 机の上に手を伸ばすと1冊の絵本を手に取った。 それは、シンデレラの物語。 灰莉が記憶のある初めて貰った誕生日プレゼント。 昔はシンデレラを読んで自分と同じだと思っていたが、歳を重ねるに連れて、シンデレラを羨ましく思う。自分には助けてくれる王子なんていないこと、心も綺麗ではないことを自覚し始めたからだ。 ぼんやりと絵本を眺めていると部屋のドアがノックされ、返事をすると入ってきたのは伊丹。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加