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「……い…
…先輩!」
「それ私のおや…ん?
アレ?」
「先輩、ここどこです?
僕らさっきまで古本屋さんにいましたよね?」
見渡す限りの草原。しかも明るさ的に昼。
大きな木の下で寝転んでいる私、茨鏡 朱汝【しきょう あかな】。
後輩…加賀御 柚【かがみ ゆず】は寝転んでいる私の体をゆっさゆっさと揺らし続けている。
此処は何処だ?
第一古本屋さんに入った後から記憶がないのだが。
「落ち着こ、とりあえず落ち着こ。
私達は今日は土曜日なのに何故か学校が午前中まであり、午後は暇だったので遊びに行きました。
帰りに古本屋さんに寄りました、それから?」
「古本屋さんで本を読んでました。
店の奥の方で見付けた本を先輩に見せました。
先輩は何時の間にか眠ってました。
起こそうとしたら目眩がしてその場に倒れました。
気が付いたらここにいました」
「なるほど…さっぱり覚えてないや。
店に入る前までしか」
ペチッ、と自分の頬を叩いて痛いことを確認すると私は寝返りを打って柚に背を向ける。
夢じゃないっぽいのでとりあえず寝たいです疲れました。
「先輩、あの本なんですけどね、今手元にあるんです」
「それを早く言え貴様」
「ただあんなに文が書いてあったのに真っ白になってるんです、かわりにほら」
柚から渡された赤茶色の本の表紙、ページを捲ると木の下で休む私達のイラストとタイトルのようなものが2ページに渡って描いてあった。
『迷い込んだ2人』、と書かれている。
私達のことを指すのだろうが…
その先のページは真っ白だった。
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