6人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ…完全に本の中に入っちゃってますよね」
「まっさかーゲームじゃあるまいし…
…夢じゃないの」
「先輩と同じ夢を見ていることになりますね」
「あ、興奮してきた」
「早く目覚めたい…」
面倒だな、と体を起こし柚の方を向くと彼の背後になんかこう、小さな熊っぽいけど熊じゃないものが今にも襲いかかろうとして私と目が合って静止していた。
何こいつ。
「加賀御ー!後ろー!」
「えっ
ぎゃあああ!!!!」
「柚くんから離れろ馬鹿野郎!!」
熊みたいなやつに体当たりをするとそいつは吹っ飛んでいった。
だが間合いを広げただけに過ぎない。
体当たりで倒せるほど世の中は甘くないらしい。世知辛いね。
「こっち来た逃げよ逃げよ」
「どこに?
視界が開けてるから逃げきれないですよたぶん!」
「じゃあどうする?」
「そりゃあ戦うに決まって」
「ヤダ」
「えっ」
素手じゃ無理だし?と私は手をヒラヒラさせていう。
武器が空から降ってくるわけでもないし…しかもよくある『戦わないと…!』みたいな考えはさらっさら無いのでとりあえず面倒くさい。
早く家に帰ってお布団で寝たい。
目を閉じればお布団…
何言ってんですかぁ!と柚が拳を固めながら興奮し出す。
最初のコメントを投稿しよう!