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「先輩、見ててくださいよ!」
そういうと柚の右手に徐々に火が纏わりつき、指を鳴らすとその火が熊みたいなやつに襲いかかった。
といっても小さな火の玉がそいつの腹部に当たって少し毛を焦がしたぐらいなのだが。
ショックを受けさらに熊みたいなやつに追いかけ回されるハメになった柚を見つつ彼のページを開くとこう書いてあった。
『フレア…小さな火の玉で攻撃』
名前かっこいいのに効果…
\先輩wwwわりと死ぬwwwwww/
「あそうだった、柚くん助けないと……
おーっと!あんな岩の上に何かがあるぞ?
茨鏡 朱汝岩の上に立つ!
これは刀だぁ!
近くに鞭もあるぞぉ?誰が用意したんだ親切設計!」
なんて実況風に喋ってましたが岩に突き刺さった刀と近くにはそれを収めるためのと思われる鞘、鞭があった。
刀は簡単に抜けはしなさそうだった。刃こぼれはしていないのだろうか。
柚に刀を渡すのが恐らくいいのだろうがちょっとこれくらいは主人公面したいので彼には鞭を渡すことにする。
刀の柄を持つと私は目を閉じた。
「…目覚めよ、エックスカあ、普通に抜けたわ」
つまんね、と言いながら刀を鞘に収め鞭を回収する。
使い方はさっぱりだが…
「柚くんどうしようか」
「助けてください」
「刀あるよ」
「斬ってください」
「でも動物斬るとか私嫌なんだけど…」
かくなる上は…と柚は立ち止まる。
熊みたいなやつが振り下ろした爪が柚の服を少し引き裂いた。
その瞬間、笑顔の私の口からドスのきいた声が漏れた。
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