キチクなアイツ

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「……痛ッ」  思い切り噛み付かれた。  唇ごと、ガブッて。 「ハルの初ちゅう、もーらい。――――そしてぇ」  痛みに呆然とする私に向かって、純はニヤリと醜悪な笑みを浮かべた。  そして、私の頭をがしっと掴んだかと思ったら、おもむろに、なんの予告もなく、傍若無人に、私の唇をべろんと舐めたのだ! 「せかんどちゅうも、もーらい」  ケタケタ笑い転げる純の声がだんだん遠くなる。  あまりのショックに心拍数が極限まで高まって、口から内臓的なものがイロイロ飛び出してきそうな感覚に、視界だけでなく頭や足までも、クラクラ、フラフラおぼつかなくなる。  目の前がぐにゃりとぼやけたかと思ったら、舞台の緞帳がおりるようにして視界が暗転、ふぅっと力が抜けてゆく。  ああ、私のファーストキス、その上セカンドキスまでも、悪魔の手に落ちちゃったの…………?  っていうか、あれはそもそもキスと呼ぶのか?  悪夢だ。悪夢としか思えない。    遅れてすいませんノストラダムスの到来です。  きっと今、いろんな意味で私は死んだ。
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