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「能ある鷹は爪を隠す、ってね」
ポカンと口を開けたまま呆然とする私を見て、くつくつ嗤う純。
余裕な顔で嘲笑を浮かべる純が、憎たらしいことこの上ない。
先生も驚きを隠せない様子で、純の言葉に頷いている。
ちびっ子達にいたっては、ヒーローでも見るような目を純に向けていて。
でも、智兄だけは、何故か苦笑い。
「ハル、約束守れよ。隷属ってね、奴隷って意味なんだよねえ」
人形じみた美麗な顔を私の耳元に寄せて、ケタケタとさも愉しげに笑み崩れる、この小悪魔。
「ハルはこれからもず――――っとボクの奴隷。逆らうなよ? 逆らったらどーなるか……くくくっ」
凄絶なまでに美しい、けれど、真っ黒い笑みを浮かべた純の手が、私へと伸びてきて。
気がつけば、私は純の腕の中。
頭から冷水をぶっかけられたみたいに、ゾワゾワッと全身に怖気が走った。
「いっやあぁぁっ! 智兄っ、智兄智兄智兄智兄智兄!! 助けて助けてぇっっ! イジメられる――――っ!?」
狂ったような雄叫びを上げる私に、純は容赦ない力でギリギリ抱きつぶそうとしてくる。
そして、淫靡な怒りを滲ませた表情で、
「黙れ。この場で犯されたいの」
呪詛の言葉を低く吐き捨て、純は私を地の底まで叩き落したのだ。
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