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「びっくりしたよ、ハルちゃん」
一時間目終了後、私の周りに集まってきたクラスメイト達に、私は頭を抱えた。
「だって、隣のクラスの間宮くんにおんぶされて登校してくるんだもん」
みんな口々に、どういうこと? と繰り返す。
「ああ、もうほんと、どういうことなのかな……」
魂の抜けた顔で、ふふふと力なく笑う私。
でも、現実逃避した私のぬるい発言では、みんなの好奇心は満たされない。
どうやら私は、純にキス? されたショックで気を失ってしまったらしく、そんな私を、純は、無情にもおんぶして学校まで連れてきたらしいのだ。
校門の近くで私は目を覚ました。
注目を集めまくっていたその状況を認識できるまで、私は純におんぶされたまま、校門横にひっそり佇む二宮金次郎像のごとく固まっていた。
かたや純はと言えば、何故かご満悦な顔でみんなに挨拶しまくっていたのだが。
「――――っ!!」
心の内で断末魔の叫びをあげた私は、純の背中から転げるように飛び降りて、一目散に教室へ駆け込んだんだけれど。
すでになかったことにはできない状況に、私は悄然と肩を落とすしかなくて。
好奇心むき出しの野獣たちを前に、もはやお手上げ状態な私だった。
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