悪魔なアイツに捕らわれて

4/6
前へ
/198ページ
次へ
「……ふうん、カレシ欲しいんだ。でも無理だし。鏡見てみな? 彼氏なんて絶対無理って分かるから。……ねえ、白状しちゃいなよ。須藤のこと、そういう意味で好きになってんじゃないの?」 「鏡って……ヒドいな! 言われなくても自分が可愛くないの知ってるし! それに、そういう意味で好きとか違う。そりゃいい人だと思うよ。優しいし、私を女の子扱いしてくれる数少ない男子だし。でも、好きとか考えたことないんだよ」 「本当かなあ?……でも、その言葉、信じるからね? 嘘ついたらぶっ殺す」  ぞっとするほど妖艶な笑みに乗せた、まさかの殺人予告。  緊迫した空気に、私はごくりと唾を飲み込んだ。 「でも、好きな人はいるんだよね?」  すう、と純の瞳が冷たく光る。 「ねえ、だれ?」 「え、いないよ? 私、今まで男の人好きになったことない」  言えない、ほんとのことなんて。  ましてや純には絶対。だから、私は平気な顔して嘘をつく。 「そっか。そうだよね、ハルってボクとは違ってモテないし。須藤なんて男前、高望み過ぎてシャレになんない。身の程知らずもいいところ」  私の答えに、ぱあっと花が咲くように、甘く蕩けるように、純は笑った。  ああ、この笑顔に男共は心奪われるんだ。  ……同じ男とわかっていても。
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

724人が本棚に入れています
本棚に追加