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彼女たちは何度もビールを口に運んで、吹き出しそうなのを誤魔化していた。
40代の大人が『最後の恋』などとロマンチックなセリフを語り、しかもそれを呆気なくチャラにしたことが可笑しいのだ。
しかし、当の本人である私は笑えない。
彼の思い込みから解放されて、心底ホッとしていたから。
笑いより安堵の思いがずっと強かった。
私は深呼吸して、慎重に言葉を選びながら彼に気持ちを伝える。
「務理様……。失礼だなんて、とんでもないです! 謝る必要もないですし、務理様の感情はもっともな事ですよ。務理様が勘違いに気づいて下さって、正直ホッとしています」
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