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「西海様……。人を想う気持ちに間違いなど無いと思いますよ」
「ですが、亡き妻に対して失礼だし不謹慎ではないかと……。それに客観的に見たら、こんな老人の感傷などお恥ずかしいです」
「西海様は奥様を亡くされて三年も経っています。人恋しくなるのは不謹慎ではなく、自然な感情ではないでしょうか? そんな時に懐かしい人との再会を望むのは、ちっとも恥ずかしくないですよ。それに幾つになっても、初恋の思い出は永遠だと思います」
「私も小高の言う通りだと思います! 私なんて主人がいるのに、初恋の人と会えるものなら会いますから!」
私とヨシエの言葉を聞いた西海の目から、一筋の涙が頬を伝った。
西海は恥ずかしそうに俯き、上着のポケットからハンカチを出して涙を拭う。
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