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タツオは冷静にミサイルの着弾を数えていた。これまでに計4発、どれもすこし離れた場所に落ちている。あまり照準の精度は高くないようだ。
「こっちだ」
ブナやシイノキなど密生した落葉広葉樹の林に突入する。ひときわ緑の濃い陰からジョージが声をかけてきた。
「上空から見えないように伏せろ」
サイコの鮮やかなレモンイエローのフィールドパーカに気づくといった。
「それは脱いで、すぐに捨てるんだ。目立ちすぎる」
サイコは無言で脱ぐと裏返しにして着直した。
「これ、バーシブルなの」
裏面は進駐官にふさわしいジャングル迷彩だった。斜面の下のほうから男たちの叫び声が聞こえてくる。ジョージがいった。
「テル、むこうでSPはなにをしてる?」
テルはシダの葉の下で腹ばいになり、双眼鏡を使っていた。
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