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「あれは五王(ごおう)重工の軍用無人ヘリだな。あの型は去年の改造で、新兵器を積んでいたはずだ。テル、覚えているか」
「ああ、ほんとに最新型なら最悪だ」
タツオはヘリコプターの腹がふたつに割れるのを呆然(ぼうぜん)と見つめていた。そこからばらばらと六機の超小型無人ヘリコプターが羽虫(はむし)のようにばら撒(ま)かれた。テルが双眼鏡を投げ捨てながら叫んだ。
「あいつも自動操縦だ。林の中に下りてきて、子機でおれたちの位置を確認するつもりだ」
クニが情けない声できいた。
「見つかったら、おれたち、どうなるんだ?」
テルはもう返事をしなかった。バックパックから自動小銃をとりだし、本体に銃身と銃把(じゅうは)をはめこんでいく。流れるような手つきで、十数秒でスコープまで装着した。返事をしたのはジョージだ。こちらもテルに負けない見事さで、自動小銃を組み立てている。
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