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胸元に携帯電話をしまい
ゆっくりと、顔を上げる。
おぼろげだった
既視感は
現実に
いま目の前に
形を作り
私に向かって、微笑んだ。
「わざわざ済まないね。
小泉……
奈々緒くん?」
芸術品のような
美しく整った
アーモンドアイが
獲物を捉えたように
深いところで
光った気がした。
心臓が
動きを止めて
全身の血液が
凍りついた。
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