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ブロンド髪を結い上ている。レッドスノー同様に紅い甲冑を取り付け、ドラゴンの背中に乗っている。見下ろしてくる眼差しが、冷たくクェトラを見詰める。少女の眼差しではない。酷く冷えた水面を思わせる。ライトブルーの眼差しは、揺るがない。
故郷に居る息子を思い出した。息子と同い年かひとつ下の少女に見据えられ、クェトラも見返す。
少女に見覚えがあった。敵国の姫だ。それが、何故と、疑問を口にしたが、少女には届かない。
灼熱の焔は、クェトラに迫る。息苦しさを覚えながらも矢羽を放つ機会を狙う。
レッドスノーが、口を開いた。
クェトラは、持っていた矢羽をその口へ向けて全力で投げる。
投げ捨てられた矢羽は、レッドスノーが、吐き出した焔に焼かれる。
焔は、クェトラの身体を飲み込んだ。
クェトラは、叫ぶ間もなく火だるまとなる。
苦痛と激痛に悶絶した瞬間、レッドスノーが、一声鳴いて降下し、クェトラを呑み込んだ。
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