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【紗希side】
宏輝が、大阪に帰った2日後…。
優輝は、約束通り帰ってきたけど、今までと、明らかに、空気が変わっていた。
ずっと…私の事を騙していたんだ…って思うと、腹が立った。
「昨日…お義母さん達が、子供達を連れて来てくれた時に、私の様子がおかしいから心配してくださって、嘘はつけないから、全部、話したから…。」
「…そうか。
なら、俺が、話す必要はなくなったんだな…。
この家は、お前の親が買った家だし…俺…来月、大阪に転勤になったから…この家は、出てくよ。」
優輝は、目を合わせる事なく、冷たい口調で言った。
「そう…。
じゃあ、出ていくまでに、離婚届は書いておくから…優輝が、出しておいて…。」
私が、そう言うと、優輝は、「あぁ…。」とだけ言って、その後は、何も喋らなかった。
その日から、子供達の前では、普通に話していたけど、2人きりになると、何も話さなくなった。
辛くて、悔しくて、腹が立って、気がおかしくなりそうだった。
毎日の支えだったのは、宏輝から来るメール。
朝と夜に、「おはよう」と「おやすみ」だけの短いメールだったけど、時々、お互いの近況を話したりする事もあった。
それだけが、すごく癒しだったし、私も、そのメールに、同じように、「おはよう」と「おやすみ」を返していた。
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