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私は、寂しくなって、宏輝が、仕事中なのは、分かってたけど、思わず電話してしまった。
宏輝は、5コール目で出てくれた。
「紗希?どないしたん?」
宏輝の優しい声を聞いた途端、私は泣き出してしまった。
「うっ…うぅ…。」
「紗希?何や?泣いてんの?
大丈夫なんか?」
宏輝が、心配してくれてる声を聞いて、私は、泣きながら、優輝が出て行ったことを話した。
「…いつ出ていくとも…言わないで…手伝ってとも言わないで…今日の朝、急に、引越し業者が来て…出て行っちゃった…。」
「紗希…大丈夫…やないか…。
今すぐ…会いに行けたらええんやけど…。」
「…ごめん…。
仕事中なのに、変な事で…電話して…。
宏輝の声聞いたら…少し、元気になった…。」
「いや…。
別に、ええんやけど…ホンマに大丈夫なんか?」
「…たぶん…。
ちなみに…優輝が…離婚届も持って行った…。」
「ほうか…。
俺は…まだ、書いてへんけど、そろそろ書かんとな…。
来月頭か…今月末には、今の部屋引き払って、そっちに行くつもりやし…。」
「引き払ってって…美咲さんは、まだ、帰ってないの?」
「…全然…。
今日…優輝さんが出て行ったてことは、もう、一緒に住み始めるんかも…。
なんや…俺が、仕事に出とる間に、少しずつ、荷物が減ってんねん…。」
そう話してくれた宏輝の声は、少し掠れてた。
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