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しばらくするとガソリンスタンドの事務所のようなところから彼が戻ってきた。急いでるわけじゃないから走らなくてもいいのに。
「お待たせしました。はい、これどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
少しやんちゃそうな外見だが、人懐っこい笑みが印象的で、たくさんの人から慕われそうなタイプだ。
私とは人種が違う感じ。
もらった絆創膏を貼りながら、そんなことを思った。
「じゃあ、俺はこれで。お気をつけて」
彼は私から絆創膏のゴミまでも回収し、また駆け足で仕事場へと戻って行く。
あ、お礼言いそびれちゃった。
そう思ったけど、一台のワゴンがガソリンスタンドへと入っていき、その車で彼の姿が見えなくなった。
わざわざ仕事を中断させるのも気が引けたので、私は帰路へつくことにした。
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