第1章

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『送って行きましょうか?パジャマでは流石に危険ですよ、お嬢さん』 白い手袋を履いた右手を差し出された。 『ドラキュラさん……ですか?』 今は亡きお父さんから小さい頃に聞かされてた『忌み嫌う者』のイメージとは違い、随分体格は良かったけど。 『確かに。先代まではそう呼ばれる事もありましたが。 私も吸血鬼ですが、血を飲むと煩わしい副作用とでも言いましょうか、それもありますので』 深々と頭を下げた。 顔だけを軽く上げて、話を進める。 『吸血鬼と言っても、不自由はしてませんし。 血を飲むのは約30年に一度程度で間に合います。なので後10年と少しは何も無いでしょうね』 そうなんだ、でも吸血鬼なんだ。 けど、なんだか信用出来るような気がして、その右手に掴まる。 立ち上がろうとした時、左のくるぶしに痛みを感じ、よろめいてしまった。 『おっと、大丈夫……では無いでしょう。挫いてるみたいですね。』 と、彼はアタシを抱き抱えてくれたその時 アタシが逃げて来た、山の上から橙色の光がいくつも走り降りて来るのが見えた 『イヤ!捕まりたくない!』 無意識の内に、彼の胸に顔を埋めて叫ぶ。 アタシは背中に力を感じた。 『アソコ……病院から?理由は後で聞きましょう』 アタシを抱き上げると、彼は空を飛んだ。 .
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