生命の起こり

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そこまで複雑な言語体系ではなかったので、 これは意外と容易に済んだ。 所詮はまだまだプログラムの域を出ないということか。 しかし、 ある個体を見て、 俺はその言葉を撤回せねばならなくなった。 その個体は、 そいつは・・・「創造」を行っていたのだ。 「起こっていないことを想像して、 物語や絵にする」という行為、 創造は、 恐らく人間特有のものだ。 チンパンジーやイルカにもない、 最も発達した脳を持つ人間だけに許された、 性癖。 その域に、 ついにこいつらは達してしまった。 そいつが創造したのは、 物語だった。 『アル トコロ ニ、 死ナナイ人間 ガ イマシタ。 ソノ人間 ハ、 幸セニ 暮ラシ マシタ。 』 たったこれだけの物語だったが、 それは革命的なことだった。
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