生命の起こり

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一番の傑作だったのが、 「俺は神だ。 俺とセックスすれば天国に行ける。 」と訴えたプログラムだ。 これに従う個体が少なからずいたのだから、 ますます片腹痛い。 あまりに滑稽なその様子を、 俺は、 黙って見ているのが次第に耐えがたくなってきた。 神だ何だのと言っているが、 俺が今ここで突然パソコンの電源を落とせば、 恐らくこれらのデータは消え去る。 つまりコイツらは皆消える。 所詮は俺の手のひらの上で飼われている存在なのだ。 俺の胸の中に、 黒色の感情が広がり始めた。 こいつらは、 自分たちの世界を世の中のすべてと信じ、 疑わない。
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