17人が本棚に入れています
本棚に追加
聖杯戦争
それは冬木という都市にて行われた「聖杯」を争い奪い合う魔術師同士の殺し合いだった。
その「聖杯」を求める魔術師は、その聖杯の力により呼び出された伝説の英霊たち、七騎のサーヴァントと契約し、覇権を争う。
その英霊たちを呼び出せてしまうほどの奇跡を実現したる「聖杯」は、必ずやいかなる願いも叶えることができるであろう。
だが、これよりこの地で行われる聖杯戦争は聖杯戦争であり、聖杯戦争ではない。
もし彼の英雄王以上の存在、神霊自体が召喚されたなら……
それはハイ・サーヴァントと呼ばれる存在。
そんなことは人類の理解を超え、それに特化した「ムーンセル」でしか実現できない。
もしそれが地上でできるのであれば、その者には聖杯はいらないだろう。
神霊を呼び寄せることは極端にいえば、聖杯戦争の大本であるイエスを召喚できるのと同じこと。そうすれば聖杯戦争そのものが意味をなくしてしまう。
だがそれがわかっていてもワタシはその知識を、欲求を彼に与えてみた。
どうなるのか知りたかったのだ。
すると彼は予想通りに、いやそれ以上に動き始めた。
もはや彼には聖杯戦争の根底など、根源への到達などはどうでもいいようだ。
ただその実現のために目的ではなく、手段として用いただけである。
これほど予測通りになるのは、あまりにもつまらない。
だが、彼の行動によってとても興味深い事柄も生まれつつあった。
これから起こるこの聖杯戦争は、先の英雄王に言わせれば最高の「愉悦」であろうか。いやそれはワタシにとってであり、彼から言わせれば人にとっての『悪』なのか?
しかしながらその行く末を知る者は、この戦いの本当の勝者であることはまちがいがない。
最初のコメントを投稿しよう!