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景気づけのように 酒をあおる征司を横目に 「君もつくづく意地が悪いなあ」 九条さんが声をひそめて僕に囁く。 「ええ?どこがですか?むしろハードルを上げたのはあなたでしょう?」 僕はまだ温かいフォンダン・ショコラを口に運びながら、ほくそ笑む。 「だからってさ、あの征司くんにできると思う?僕らの前で薫くんをその気にさせるなんて」 「さあ、どうでしょう」 ちょうどその時――。 すっかりいい気分の巻毛の王子が 椎名さんとじゃれあうようにして席に戻ってきた。 「お手並み拝見ですね」 僕はスプーンをくわえたまま 事の成り行きを見守る。
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