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魔国。
そこは陽の恩恵を受けることを忘れた、闇に閉ざされた土地に、強大な魔の力を持つ者たちが好んで集い、暮らす国。
人々が様々な魔の力を駆使し、生活するが故に、他国から名付けられた、名。
魔の力を持たぬ者から見たら、そこはあまりに非現実的な世界であり、そこには近づかぬことが暗黙の了解となっている。
運悪くそれを知らぬ国が攻め入ろうものなら、一瞬のうちに敗北が決定する。
しかし、それだけの力を持ちながらその国は世界を支配することはない。
魔国では、力と美が比例する。大きな魔力を有した者は、誰もがため息をつきたくなるほどの美しい容姿を纏っている。
それが故に、中でも最も魔力の高い者が、王たる資格の持ち主となる。魔国に生まれ、存在する者にはそれが当たり前で、それ以上も以下もありはしない。
つまり、王族こそが、もっとも魔力が高く、強大な力を持つが故に、国内で争いが起きることもなく、支配にも、何にも興味を示すことがない。故に冷淡な性格をしており、支配することは当たり前、人より優れていて当たり前、だから他国への支配に興味がないのである。
そんな魔国を味方につけようと、しばしば外交を試みる国もある。しかし、王の住まう城まで辿り着くものは、ない。闇に閉ざされたその地に足を踏み入れたその瞬間に、その者は自らの意思で引き返す。
そんな閉ざされた空間。
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