第1話

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｢誰か、いないか｣
低く耳に心地よい声が、広間に響く。
｢御前に｣
すっと、音もなく現れたのは、配下たる男。
しかし、それは王である彼には当たり前であり、配下である男にも、自然な出来事。
｢いよいよ、我が子は５歳を迎える。呼んで参れ｣
｢かしこまりました｣
配下の男は恭しく頭を垂れると、また音もなく姿を消した。
｢……｣
男の行く先にも興味がなく、ただただ王である彼は沈黙したまま視線を落とした。