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やがてトンネルはそれ以上何ごとも無く終わりを告げた。
彼らが麓の『峠の茶屋』で一息入れようと、自動販売機の前でたむろしていると、お店の中からお婆さんが断りをいれて来た。
主人がいないから温かいものしか出ないのだと。そう言ってお店の中に入って行った。
仕方がないので生ぬるい缶コーヒーを飲み終わり帰ろうとした彼らの前に一台のタクシーが止まった。
タクシーの運転手が窓を開けて尋ねた。 そこで何をしているのかと。
若者達は横柄な態度で応えた。 峠の茶屋でコーヒーを飲んでいるんだと。
タクシーの運転手が暗い顔で応えた。そこには何も無いと。
振り返る若者達に真っ直ぐに突っ込んでくるダンプカーのヘッドライトが怪しく目を焼いた。
終わり
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