第7話

16/38
前へ
/38ページ
次へ
文句言いたいことは山ほどある。 聞きたいこともたくさんある。 でも、 こうして電話をくれたことが何よりもすごく嬉しくて。 田原さんの頼りなげな切ない声を聞いて、 今まで起こった事、全部、帳消しにしてもいい、なんて 思っちゃってる……。 もう、田原さんのバカ。 もっと早くに電話かけて来てよ。  私、待ってたんだからね…? 赤信号で車が停止した直後、ふいに私のスマホが取り上げられ、 「…っ!?」 「田原さんとやら、申し訳ありませんが、今、優子さんは私とデート中なので、邪魔をしないでいただきたい。では」 田原さんと私だけが入りこんでいた異空間から 現実に引き戻された。 勅使河原さんは迷いもなくスマホ上部横のボタンを押し、 画面をタップした。  電源を、切られた……
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1029人が本棚に入れています
本棚に追加