第7話

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「勅使河原さ…」 「御心配なく。帰る時、返して差し上げますから」 スマホを人質にとられていては、簡単に帰ることなどできない。 さっき、田原さんと約束したのに…… 急に音信が途絶えて、私の事を心配してるに違いない。 それにしても、 紳士な勅使河原さんがこんなことをするなんて信じられない。 私が抗議の目を向けているのを感じたらしく、 「すみません、でも、」 急に頬を崩し、 ゆるふわな笑みを向けて来た。 「あなたと過ごす貴重な時間を誰にも邪魔されたくないのです」 思わずキュ、と唇を締める。 そんな風に邪気なく言われると、こっちは何も言い返せなくなってしまう。
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