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とりあえず、この場をなだらかにおさめて、
店を出た後、きちんと断りを入れて帰ろう。
「…わかりました」
中をざっと見渡すと、
一粒石のシンプルなものが目に止まった。
「あれが素敵だと思います」
勅使河原さんが店員に目くばせをし、
それを受けた彼女は手持ちの鍵で錠をはずして中に手を伸ばし、迷わず9号を掴んだ。
サイズがあらかじめ伝えてあったとみえる。
「他に惹かれるものはないですか?
せっかくなのでたくさん選んで下さい」
隣にいるのが田原さんだったら、わざと高い物を選んで困らせてやろう、なんて悪戯心が出てしまうかもしれないけど。
今は浮かれて選べる状況ではない。
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