第7話

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勅使河原さんの機嫌を損ねずに何とかうまく断る方法はないものだろうか。 何か彼の弱味のようなものを握ることができればいいのだけど、残念ながら何も…… あ…… そう言えば、勅使河原さんはどうしてこの歳まで結婚せずにいたのだろう?  家の存続や繁栄を第一に願うならば、結婚をすべきなのに…… いえ、私が知らないだけで実はバツ一かも……? 「あの…、少しプライベートな質問をさせてもらってもいいですか?」   もしかしたら婚歴があるかもしれない。 「どうぞ」 「どうして今までご結婚されずに独身でいらしたのですか?」 「ああ、そんなのは簡単です。理由は二つあり、一つ目は仕事が面白く、忙しかったから。そして二つ目は、これはと思う相手に出会わなかったからです」 何とも優等生的な答えに肩を落とす。
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