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「俺、既視感が何度もあって。おかしいと思いながらここに来たんだけど、全部夢で観てたことだった」
無言で佇む陽菜は俺の横に来て、柵に凭れ掛かって空を見上げた。
何も言わないアイツに合わせて、俺も同じようにした。
星は散っていて綺麗だった。
『夜空は綺麗でしょ?夜空君の目も綺麗な色をしてる』
月乃の言葉が脳内でリピートされた。
「もしかして、夢ではなくて、実際に経験した事だったのではないか、って思ったんだけど……陽菜?」
さっきから何も言わない陽菜を訝しんで、隣を見ると、目が合った。
笑ってるのに冷たくて暗い目をしていた。
背筋が凍る。
心臓が破裂してしまいそうになるくらいにバクバクしてる。
「ねぇ夜空は気が付いたんだ?流石天才。でもヒント上げすぎたかね」
ちょっと、待て。何て言った?
「……ヒントってお前」
「そうだね、私が教えてあげる。その夢のこと」
静かに、だが確かに耳を突く声色だった。
なにがなんだかわからないが、妙に惹き付けられる笑顔だった。
何故かなんて自分でもわからないけれど、コイツの言葉に耳を傾けている。
「あれはね夢じゃない」
陽菜はそう言って始めた。
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